ホテルで温泉に入ってないのに入湯税!?なぜ入湯税が取られる?

旅の醍醐味といえば、心地よい湯につかって日頃の疲れを癒すこと。

そんな素敵な体験の裏側で、私たちが気にかけるべき小さな費用があります。

ホテルや温泉旅館の税金としてチェックアウト時に目にする「入湯税」という項目。

東京などで課される宿泊税とともに、旅で課される税金の一つです。

実は、この入湯税には興味深い歴史と重要な役割があります。

温泉地の魅力を維持し、さらに発展させるための大切な財源となっているのです。

今回の記事では、旅行者の皆さまが知っておくべき入湯税のすべてについて、わかりやすく解説していきます!

目次

そもそも入湯税って何?温泉に入らなくても支払う必要ある?

入湯税は、温泉地の魅力を守り、さらに発展させるための重要な役割を担っています。

この税金は、温泉施設を利用する私たち旅行者が、その地域の環境保全や観光振興に直接貢献できる仕組みなのです。

法律的には、入湯税は地方税法で定められた市町村税の一種で、「目的税」と呼ばれるカテゴリーに属します。

つまり、徴収された税金は特定の用途にのみ使用されるのです。

では、具体的にどのような目的で使われているのでしょうか。

主に以下の4つの分野で活用されています。

環境衛生施設の整備
鉱泉源の保護管理施設の整備
消防施設その他消防活動に必要な施設の整備
観光の振興(観光施設の整備を含む)

総務省|入湯税

注目すべきは、この入湯税が旅館やリゾートホテルだけでなく、気軽に利用できるスーパー銭湯や健康ランドなど、あらゆる温泉施設で徴収される点です。

つまり、温泉を楽しむすべての人が、その地域の発展に寄与しているといえるでしょう。

このように、入湯税は単なる追加料金ではなく、温泉地の持続可能な発展を支える重要な仕組みなのです。

ちなみに、入湯税が温泉地にどのように役立っているかは、「温泉地の入湯税に関する一考察」(東洋大,高橋(2022))がわかりやすいです!

【コラム】入湯税は温泉に入らなくても支払う必要がある?

「ホテルに泊まったとき、部屋のシャワーしか利用していないのに入湯税を取られた!」このような質問がYahoo!知恵袋で多数散見されます。

確かに「入湯税」という名前だけ見ると、温泉に入ったことに対する税金に思えます。

そして実際に、入湯税は温泉等の入浴施設の利用者に対して課される税です。

しかし、入浴施設がある宿泊施設だと、入浴施設利用者と利用していない人を区別するのが難しいので、一律で徴収される場合が多くなっています

ちなみに富山県の砺波市では、「入湯行為がないことを立証されない限り、入湯税が課税されます」としています(逆に言うと、入浴していないことを証明すれば入湯税を払わなくていい)。

宿泊客が入湯税を支払うタイミング

入湯税の支払いタイミングについて、多くの方が疑問に思われるかもしれません。

実は、この税金は私たちが意識しないうちに支払っていることがほとんどなのです。

温泉施設を利用する際、または温泉のある宿に宿泊するとき、入湯税は通常、利用料金や宿泊代に含まれる形で徴収されます。

そのため、「入湯税を払った記憶がない」と感じる方も少なくないでしょう。

しかし、実際には確実に支払われているのです。

その証拠に、温泉施設や宿泊先が発行する領収書やレシートには、必ず入湯税の記載があります。

次回温泉旅行の際は、ぜひ注意して確認してみてください。

興味深いのは、この「見えない税金」が、実は温泉地の魅力を維持し、向上させるための重要な財源となっていることです。

私たちが気づかないうちに、訪れた温泉地の維持・発展に貢献しているのです。

入湯税はどれくらいの金額が課される?

入湯税の金額については、多くの方が気になるところでしょう。

実は、この税金には興味深い歴史と地域による違いがあるのです。

総務省の定める入湯税の基準額は、「1人1日につき150円」となっています。

この金額は、長い年月をかけて徐々に調整されてきました。

入湯税が初めて導入された1950年(昭和25年)当時は、わずか10円でした。

その後、社会情勢の変化に合わせて段階的に引き上げられ、現在の150円に落ち着いたのです。

しかし、ここで注目すべきは、入湯税の実際の金額が各自治体の裁量に委ねられている点です。

つまり、地域によって税額が異なる可能性があるのです。

実際、大多数の自治体(90%以上)は総務省の基準に従い150円を採用していますが、中には独自の基準を設けているところもあります。

例えば、温泉地として名高い別府市では、宿泊料金や飲食代の合計、滞在期間などに応じて税率が変動します。(別府市の入湯税リーフレットEnglish・한국어・中文))

短期滞在(日帰りから6泊7日まで)で、1泊食事付きで50,001円以上の利用をする場合、1人1日あたり500円という全国最高額の入湯税が課せられるのです。

また、多くの地域で、日帰り温泉施設の入湯税は宿泊施設より若干低めに設定されています。

これは、利用形態の違いを考慮した措置といえるでしょう。

このように、入湯税は単一の固定額ではなく、地域や利用状況によって柔軟に設定されています。

ハルカ

その地域がどのように入湯税を活用しているかを知ることで、温泉旅行の新たな楽しみ方が見つかるかもしれません!

入湯税には免除されることがある?条件は?

入湯税について詳しく知ると、実はこの税金が免除される場合があることがわかります。

これは多くの旅行者にとって意外な事実かもしれません。

まず、年齢が12歳未満の子どもたちは入湯税が免除されます。

また、病気の療養を目的として継続的に温泉を利用する方も、非課税となります。

これは、温泉の持つ治癒効果を重視する考えからきているのでしょう。

教育の観点からも興味深い免除規定があります。

多くの地域で、修学旅行などの学校行事(大学を除く)での温泉利用が非課税扱いとなっています。

ただし、引率者や添乗員の扱いは自治体によって異なるので注意が必要です。

さらに日常生活に密着した温泉施設にも免除規定があります。

例えば、社宅や社員寮内にある「共同浴場」や、地域の人々の憩いの場である銭湯などの「一般公衆浴場」も非課税対象となっています。

これらの施設は、生活に不可欠な公共サービスとして位置づけられているからでしょう。

このように、入湯税の免除規定は、年齢、目的、教育、日常生活など、様々な観点から設けられています。

これらの規定は、温泉の多様な価値を認め、より多くの人々が温泉を楽しめるようにするための配慮と言えるでしょう。

【ちなみに】入湯税には消費税はかからない

入湯税と消費税の関係は、多くの方にとって意外な事実かもしれません。

実は、入湯税には消費税が課税されないのです。

これは、旅行者だけでなく、ビジネス利用の方々にとっても重要な情報です。

通常、宿泊料や施設利用料と一緒に徴収される入湯税。

一見すると、これらの料金と同様に消費税の対象になると思われがちですが、実際はそうではありません。

この点は、とくにビジネス利用の際に注意が必要です。

例えば、出張で温泉施設や温泉のある宿に滞在した場合、経費精算や確定申告の際に重要になってきます。

領収書やレシートに「入湯税」の表示がある場合、この金額は課税仕入れから除外して申請しなければなりません。

どうして入湯税に消費税はかからないの?

なぜ入湯税に消費税がかからないのか、その理由を考えてみるのも面白いでしょう。

入湯税は地方税の一種で、すでに税金としての性質を持っています。

つまり、「税金に税金をかける」(いわゆる二重課税)ことを避けるための措置と言えるかもしれません。

この「入湯税には消費税がかからない」という事実は、温泉旅行の経済的側面を考える上で興味深いポイントです。

宿泊代や入浴料には消費税がかかりますが、入湯税にはかからない。

この小さな違いから、温泉地の財政や、私たち利用者の支払う総額にどのような影響を与えているのか、考えてみるのも一興です。

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この記事を書いた人

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